——小宮山さんは今まで色々な作品でたくさんの方を撮ってきたと思うんですけど、その中で特に印象的だった方、印象的だったことってありますか?

若い子たちの爆発力、オーラですかね。
山﨑賢人くんにしても、坂口健太郎くんにしても、永野芽郁ちゃんにしても、この子たちが今一番旬なんだなということが撮っててわかるので。
それから、みんな総じて謙虚、真面目、一生懸命ですね。

——撮影に入る前にお会いすることって少ないですよね?

衣装合わせの時に顔合わせですかね。
僕、珍しいパターンなんですけど、映画での助手経験ないんですよ。
なので、衣装合わせが顔合わせで、初めて会うから絶対にいなくてはダメだという暗黙のルールを知らなかったんです。(笑)

——衣装合わせの時までに、カメラマンさんって役者さんの過去の作品を見たりするんですか?

そうですね。
ドラマ、映画を見るようにします。
ただこれから伸びていく若い子たちだから、資料を集めるのはなかなか大変ですけど、必ず著名なものは見るようにはしますね。

——それを見て(小宮山さんだったら)こう撮りたいとかイメージするんですか?

そうですね。
メイクとかでも変わってくるので、そういう点でいったら写真を見ることが多いですね。
この子は右から撮られてることが多いなとか、左から撮られてることが多いかなとか。
長澤まさみさんとか武井咲さんなど演技派女優さんだったら、「どっちから撮られのが好き?」って聞いちゃいました。

——外に出てる写真は多ければ多いほうが色々情報を仕入れることができるということですよね?

そうですね。
監督とかに今回はこんなトーンで撮りたいという、スチールやポートフォリオがまとめられたものを見せられたこともあります。
色のトーンだとか、髪型も含めて。
もちろんその作品にそういうシーンがなくてもこういう感じでやりたいと言って共有していくんです。
だから、そういう写真を台本にずっと挟んで仕事をしていたこともありましたね。

——mirroRliarの中で役者さんのポートフォリオをWEB上で作る機能というのもあって・・・

それはすごいいいですね。
昔はポートフォリオを作るのをお手伝いしたこともあるし、作品集をDVDに作って、それを配ったりしていました。
だけど、今はクラウドの時代だからよりデータがストックされているところにアクセスしてくださいというのが手っ取り早いし、効率的だと思います。
ましてや、有名な役者さんだったら事務所があるからいいけど、まだその段階ではない若い人たちは、ここにポートフォリオがあるから見てくださいとやらないと、見てくれないと思います。
だって、紙を渡してもなかなか見てもらえるチャンスは少ないですからね。

——事務所に所属していない役者さんにもお会いすることがあると思うんですけど、どんなやりとりがあったりしますか?

「どんな事務所がいいですか?」と聞かれることはあります。
僕は事務所の内情がわからないから、キャスティングコーディネーターに声をかけて、どこががいいかを聞き出して、こっちはバラエティ色が強く、こっちはモデル業が多いよ、ということは教えてあげたりしますね。
ただ、その子たちの作品を見せてもらわないと素養がわからないので、写真とか、作品、映像は人に見せられるように作っておかないといけないよね、ということも話します。

——若手の役者さんたちにカメラマンとして伝えたいことはありますか?

まずは立ち位置ですかね。
黒澤映画を見るとそうですけど、(役者と役者が)被ってないんですよ。
見事に『7人の侍』とかで、当然指示してるんだろうけど、全員の顔が写っていて、黒澤映画は徹底的に被りがないんです。
役者さんたちも上手なんだろうけど。
『君と100回目の恋』や『坂道のがアポロン』でご一緒した真野恵里菜さんは、本当に立ち位置が秀逸。
めちゃくちゃ良い位置に入ってくれるんです。
僕は「安定の真野」って言ったくらいなんです。(笑)
立ち位置(場ミリ)というのは立って欲しい部分に小さなマーキングをしている部分をいいますが、これをものすごく気をつけると全体が見えてくるようになるかもしれませんね。
やっぱり演技の中に集中しちゃうと、どうしても立ち位置がオーバーしたり届かなかったり。
映画カメラは重くて、銃座のようなしっかりした三脚に乗せている事が多く、本番がスタートすると簡単に動かす事は出来ませんから、被りが厚くなってしまうとどんなに良い演技をしていてもNGになってしまうんです。
撮影のみならず、照明部さんや録音部さんもそこに合わせて準備していますから、立ち位置の上手な子はスタッフにも好かれますね。

普通のカメラマンは、だいたいバストサイズって85ミリってレンズをを使うことが多いんですが、僕の場合、250ミリとか、何倍もの長さで取ることが多いんです。
そうすると、、ちょっとでもふらついたりすると他の役者さんに被ってしまうので、みんなに「1ミリずれてください」と言うんです。
そうするとみんな笑うんだけど、本当に体をちょっとずらすだけで変わるから、要望に答えてくれる体幹を持った俳優さんたちは、売れますね!(笑)

立ち位置と体幹は若い人たちに勉強してほしいですね。

——体幹とか、立ち位置がしっかりしてる人というのはカメラマンさん的にも、あの子は撮りたい!ってなるのでしょうか?

この手の感覚が鋭い子はワークショップで上手だったら監督の目にも留まりますよね。
見せる力が強ければ、それはキラーカットになるし、そういう子にも目がいく。
主役じゃない子にも目がいくというのはその子の素養があるということで。
当然現場では、後ろの人たちにも演技はつけますが、なりでやってくれっていうことが多い。
けど、そのなりができてる子、元々体に染み付いている優秀な子は伸びますね。
できる子はわからないとは言わない。
この子すごいなと思う子で「できません」というのを聞いたことがないです。

だから、できないって言っちゃダメですね。

【印象的な言葉】

——以前お話されていた「No.2のNo.1が好き」というのはどういう意味でしょうか?

うちの専門学校の生徒にも言うんですけど、監督というのがNO.1じゃないですか。
プロデューサーとか色々あるけど、見た目、全体を統括するという意味では。
ある時から、NO.1を支えるNO.2という立場の人間をやる方が自分に向いてるんだなあというのを考え始めたんですね。
上に立たなければいけない人を補佐する、将棋で言えば飛車とか角とか、という立場の方がいいなあという意味でNO.2という意味です。
なのでサポート役のNo.1になると言うのがプロフェッショナルな仕事の仕方だと思ってます。

——そして「映画はマラソン、ドラマは競歩、CMは100メートル走」とは・・・?

これはよく言われることなんですよ。

——小宮山さんなりの例えなんですか?

いや、皆が思ってることだと思うんですが、両方をやる人がかなり少ないので…。
映画はマラソン、CMは100メートル走、ドラマはその間で競歩かな?一番辛いんじゃないかな?
時間も限られてるし、やること多いし。
2月にドラマをやったんですけど、気持ち悪くなるくらい大変でした。

CMってだいたい撮影に1日及び2日、映画はだいたい40日なので、映画をマラソンに例えるならどこにグッと力を入れていくか、最初から飛ばしていくと息切れしてしまうし。
初めて映画の撮影をした森淳一さんと仕事をした時に「小宮山さんはCMのカメラマンだから、全部いい絵を撮ろうとすると、まず体がもたないし、見てる人も疲れちゃう。
見てる人にも休んでもらうカットも必要だから、全体的に70~80点で物事を進めてほしい」と言われたんですよ。
最初はそんなわけない、バリバリ撮ってやる!と思ってたんですけど、長くやってるとそんな息抜きカットも必要な場合もあるんだなぁ〜と感じる時もあります。

——では、次にチャレンジしたいことはなんですか?

昔はよく10年先のことを夢に描いて働けと言われてきて、そうしてたんです。
でも、今は10年先に何が起きてるかわからない。
10年後に全く存在していない仕事があるんですよね。
なぜなら、10年前にはiPHONE、スマホは存在していなかったけど、今では無いなんてありえない世界になりましたよね。
あとはYOUTUBE等のネット配信もそうです。
そう考えると、10年先のことなんて想像がつかないです。
なので、僕が思うのは10年先に流行ることを、ちょっとでも先に知ってて、そこの先駆者(パイオニア)でありたいなと思う。
昨今3Dが飽きられて、今はVR。
だから、その先に何が流行るかを知って、先駆者になりたいなって思っています。

ありがとう御座いました!撮影部目線の興味深いお話を聞かせて頂きありがとう御座いました。
私も勉強になりました。今後の小宮山さん撮影の作品楽しみにしています!