INTERVIEW&COLUMN
2017.10.15
新進俳優・前原滉、俳優を目指す人が陥りやすい行動に言及!
独特のカメラワークで、唯一無二の作品を作り上げる岸善幸監督の最新作『あゝ、荒野』。 本作で、「自殺研究会」のカリスマ的リーダー・川崎敬三を演じた俳優・前原滉。 岸監督が“天才的な俳優です”と称した前原さんだが、本格的に俳優活動を始めたのは2015年からだそうです。 そんな前原さんに「mirroRliar」の読者に向けて、ここまでの道のりや、俳優として心掛けていることなどを語っていただきました。
ーーーー俳優になったきっかけ
前原さんが俳優を目指すきっかけとなったのは、高校卒業後の進路を考えはじめたとき。
「僕はずっとサッカーをやっていたのですが、高校入学と同時に辞めてしまいました。理由は些細なことだったのですが、僕が辞めたあとにずっと一緒にやって来た友達が、その高校でキャプテンになり全国大会まで出場したんです。そのとき、やりたいことをやらないとすごく後悔するんだなと強く感じたんです」
学生時代に「自分がした決断を後悔した」経験をしたという彼。
そんな前原さんの“やりたいこと”が俳優という仕事でした。
「何かの作品にすごく影響を受けたとかではないのですが、小さいころからドラマとか映画を観ていて、人前に出る仕事をしたいという思いはずっと持ち続けていたんです。あとは「モテたい」という邪な気持ちもあったんですけどね」
少しはにかみながら語ってくれました。
ーーーー「俳優」になる難しさ
俳優として生きる道を選んだとしても、スカウトをされる一部の人間でなければ“俳優になりたい”と思ったところでスタートラインに立つことすら難しいもの。
「俳優という仕事なので、一番に考えるのは『どうやったら作品に出られるのか』だと思うのですが、そのためには芸能事務所に入らないとダメですよね。僕の場合は養成所に入ったのですが、お芝居の勉強をしながらも、どこかで事務所に入るためのスキルを磨いているだけじゃないか?
と思わぬ盲点に気づいたといいます。
「だからと言って、じっくりお芝居を磨き続けても事務所の方の目に留まらないことも多い」
すかさずそう続けた前原さん。事務所に所属したいという思いと作品に出たいという思いの間で葛藤もあったようです。
ーーーー大切な「出会い」を掴むこと
俳優業に対する葛藤のなか、3年半の時間を過ごしてしまったという前原さん。
「もう辞めてしまおうと思ったのですが、せっかくなのだからこれまでコツコツと勉強してきたことをしっかりやってみよう」
と、決心したそうです。そんなとき、現在所属しているトライストーン・エンターテインメントのマネージャーさんとの出会いがあったと言います。
「もともとトライストーンが運営している養成所にいたのですが、そこでは定期的にマネージャーさんが僕らを見に来て、良いなと思ったら、事務所に所属できるという仕組みなんです。そこでいまのマネージャーさんと出会えたのも、巡り合わせとしか言いようがないのですが、僕はこれまで『作品に出るためにお芝居がうまくなりたい』と思ってやっていたので、そこをうまく見つけてもらえたのかなという気持ちはありました」
ーーーー「準備」を続けることが芝居につながる
事務所に入るためのスキルとじっくり芝居を磨くことの葛藤に悩む人が多いと話していた前原さんでしたが、自身は、芝居を磨くことに専念することに。
「事務所に入ることが目的だと思ってしまうときってあるのですが、実際は、入ってからが勝負だし、そこからがスタートなんです。正直、事務所に入る前も、いまもやっていることってあまり変わらないんです。とにかく作品のために準備するだけ」
丁寧に作品に取り組み、少しずつ実績を積んでいくことにより、演技を観てもらえる人の数が増える。 岸監督の言葉を借りれば「力のある俳優」であれば、きっと声はかかる。 そのために、小手先の技術ではなく、しっかりとお芝居に向き合うことが大切だと前原さんは語ります。
ーーーー俳優業について感じていること
そんな前原さんは“俳優業”について常日頃から感じていることがあるとのこと。
「僕らのやっていることって、本当に必要なことを省いていくと、なくてもいいものに分類される可能性もある仕事だと思うんです。すごく優先順位の低いもののような気がするんです。 逆に言えば、そのなかで残っていくことってすごく大変だと思います。その意味で、人と同じじゃ絶対ダメだと思っていて、しっかり自分の考えや主義主張を持つことが大切。 特にオーディションなどはたくさんの人がいるので、そこで自分の色を出さないと残らない。もちろん、その色が受け入れられないこともありますが、だからと言ってその都度、色を変えていたら結局は誰からも支持されない。 しっかり自分を持つことは絶対大事な世界だと思います」
口調も穏やかで、柔らかいイメージの前原さん。 岸監督は「話している姿は普通の青年なのですが、フォトジェニックというかカメラ映えするんです。映像作品のなかで、ハッとするものを持っている人といない人がいる。それは演出では出せない。そういう人はこの世界からは消えない」 と賞賛しており、確かに劇中で前原さんが演じた川崎敬三のゾクっとするような表情やたたずまいは、最後まで脳裏に焼き付くインパクトと迫力がありました。 本作とともに、今後の前原さんから目が離せません。
(取材・文・写真:磯部正和)
映画:『あゝ、荒野』
監督:岸善幸 脚本:港岳彦 原作:寺山修司 音楽:主題曲:岩代太郎、BRAHMAN 出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、ユースケ・サンタマリア、前原滉、木下あかり、木村多江、でんでん、モロ師岡 企画・製作:河村光庸、瀬井哲也、四宮隆史、宮崎伸夫、宇野康秀、山本浩、植田実 プロデューサー:杉田浩光、佐藤順子 製作・配給:スターサンズ 公式HP:http://kouya-film.jp/
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