INTERVIEW&COLUMN

2017.11.30

『サラバ静寂』という映画について -僕もまた“ノイズ”でした-

「音楽が禁止された世界で、音楽と出会って魅了されてしまった若者たち(劇中では彼らのことを“ノイズ”と呼ぶ)」を描いた、僕の新しい監督・脚本作『サラバ静寂』(出演:吉村界人、SUMIRE、若葉竜也、森本のぶ/ 斎藤工 他)が2018年1月27日(土)より渋谷ユーロスペース他順次全国公開します。

これから暫くは、そんな『サラバ静寂』についてコラムを書いていけたらと思っており、初回である今回はこの映画の企画の成り立ちについて書いていけたらと思います。

映画も、音楽も、小説も全ての芸術は、確かになくても生きていけるかもしれません。
そんなものがない方がお金も時間も節約できるし、無駄に希望や野心を持ったりすることも、現状に不満を持つこともないのかもしれません。
それでも、僕はそういった無駄な希望や野心や不満が、そしてそれをもたらす映画や音楽が、人間らしく生きていくためには必要不可欠だと思うのです。
表現の自由が制限されがちなこの世界だからこそ、この作品を通して何かを伝えることが出来たら…と自らこの映画を企画しました。

正直、企画として『黒い暴動♥』のようにキャッチーではないし、近未来SFとも言える設定は予算的にも無理がある。
それでもこの企画はどうしても今やりたくて撮影を強行することを決めてしてしまったため、プリプロからポスプロに至るまで全ての作業に本当に本当に苦労しました。

この間、そんな状況に四苦八苦しながらもがき続ける僕の様子を見ていた友人が、ふと「なんでそこまでして映画を撮るの」と聞いてきました。
確かに企画から撮影まで年単位でかかるなんてざらにあるし、そこから撮影して、公開までまた一年…、それだけ時間をかけても映画監督なんてちっとも儲からないし、名誉や名声を得たわけでもない。監督としてやっていくうえで、たまに違う部署(今回で言えば俳優部)に入って、違う視点から映画作りに参加するのも良い刺激になるなと改めて思いました。

それでも、やはり映画が好きだし、撮りたいものがあるから、もしかしたら世界に必要ないかもしれない「映画」なんてものを撮ろうと全力を尽くしてしまう。
映画を撮る理由なんて、自分でもびっくりするほど単純でどうしようもない理由でした。
『サラバ静寂』の中で「音楽に魅了された若者=ノイズ」と一緒だったのです。
だからきっとこの映画が撮りたかったんだな…。

来週からは吉村界人くん、SUMIREちゃん、若葉竜也くん、森本のぶさん、斎藤工さんという魅力溢れる素敵な俳優陣について書いていけたらと思っています。
彼らもまた愛すべきノイズでした。

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