INTERVIEW&COLUMN

2017.12.27

『サラバ静寂』という映画について-若葉竜也さん-

「音楽が禁止された世界で、音楽と出会って魅了されてしまった若者たち(劇中では彼らのことを“ノイズ”と呼ぶ)」を描いた、僕の新しい監督・脚本作『サラバ静寂』(出演:吉村界人、SUMIRE、若葉竜也、森本のぶ/ 斎藤工 他)が2018年1月27日(土)より渋谷ユーロスペース他順次全国公開します。

若葉竜也との初めての出会いは役者と監督としてだった。
何を当たり前のことを言っているのだ、と思われるかもしれないけど、若葉くんが監督した映画のメインキャストとして僕が出演したのが出会いの始まりなのである。

その現場以降若葉くんには、会っていなかったのだけれど、去年の湖畔の映画祭で久しぶりに再会して、「また一緒になにかやろう」、ふわっとそんな話をした。

それから数ヶ月、ミズト役の吉村界人、ヒカリ役のSUMIREが決まり、トキオ役を誰にしようか考えていた時に頭に浮かんだのは若葉君だった。

結論から言うと、若葉君にファーをしたのは大正解だった。

経験豊富な若葉君は現場を引っ張っていってくれたし、何より脚本以上にトキオという人間を豊かにしてくれた。

こんなこと書いたら若葉君は嫌がるだろうけど、一言で言うと最高に「エモい役者」だなあ、と思う。

劇中で若葉君が何か行動を起こそうとすると、ふっと観客の感情も彼についていってしまい、気づくと応援している、そんな俳優なのだ。
僕も現場に入って、脚本を書いた時の何倍も、いや何百倍もトキオが好きになった。

それは僕だけではないようで、トキオに酷いことが起こるとあるシーンの撮影前日なんて、スタッフ数人が「トキオにそんなことが起こってほしくないから脚本を書き直して欲しい」と直訴してきた。

勿論、僕は却下するわけだが、そうすると僕の隣の部屋で行われている酒盛りで「あんなことするなんてあの監督は酷い」「どうやってそれを止めるか」なんて会話が朝まで盛り上がっている。
頼むから寝てくれ、もしくは俺の部屋の隣でやらないでくれ。
そして、どれだけエモいんだ、若葉竜也…。

そして、そんな若葉君のシーンで僕が一番好きなシーンは、ギターを触っているトキオがギターのハウリングに気づき、それを録音しようとするというシーン。
演出として出した指示は「ここは『2001年宇宙の旅』で猿が骨を手にした瞬間と同じだから」っていうただそれだけ。

キャメラをまわしだして、若葉君の芝居が始まると、粘着力の弱った壁に貼ってあった紙が落ちた。
すると、それに気づいた若葉君は、それを拾う芝居をしてギターをハウリングさせて、ハウリングに気づく芝居に繋げた。
ちゃんと周りを感じて、そしてそのうえでやるべきことを理解してないとそんなこと出来ない。

そして、そのときのハウリングに気づいた若葉君の顔がまた、良い。
僕は思わず、キャメラマンの背中を押して、もっと寄るように指示をした。
だって、もっと近くでトキオの顔を見たくなってしまったから。

昨日、cinefilさんに取材をしていただいた際、ライターさんに「あそこのシーンは『2001年宇宙の旅』で猿が骨を持ったところと一緒ですよね」って言われて驚いた。

僕が若葉君に伝えた演出は、若葉君を通してちゃんと観てくれた方に伝わっていたのである。

若葉竜也はエモくて、対応力の高い最高な役者だ。

そして皆様、本年も本当にお世話になりました。
来年も何卒宜しくお願いします。
良いお年を!

『サラバ静寂』

出演:吉村界人、SUMIRE、若葉竜也、森本のぶ /斎藤工 他
1月27日(土)~渋谷ユーロスペース他順次全国公開。

https://twitter.com/saraba_seijaku
https://www.instagram.com/saraba.seijaku/

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