INTERVIEW&COLUMN

2018.01.27

映画「嘘を愛する女」対談インタビュー 〜俳優のスキルを高めるには?〜 前編

ー「キャスティングの理由」ー

中江:「嘘を愛する女」は、ツタヤが主宰する※企画コンペでグランプリを取り、そこから映画化への道を辿るわけですが、コンペの最終審査で5分の映像を作る必要があり、そこで主演をしていただいたのが延増さんと田中さんです。どうも。
※企画コンペ:(http://top.tsite.jp/special/tcp/

二人:どうも(笑)

中江:コンペに出した時は「嘘と寝た女」というタイトルで、主人公たちの年齢も40代で。
まあ〜いろいろあって、30代の長澤まさみ氏と高橋一生氏になったんですけど(笑)。
「嘘を愛する女」では、延増さんは看護婦役で、田中さんは記者役で出演していただきました。

二人:その節はお世話になりました。

中江:こちらこそお世話になりました。

記者:なぜ、コンペ映像に二人をキャスティングされたのですか?

中江:映像を作るのに与えられた時間が10日ほどしかなくて、よく知っていて信頼できる俳優に頼むしかないと思い、声をかけました。
たまたまスケジュールが空いていて助かりましたけど。

記者:出会いはどのような?

中江:6年ほど前に俳優座の舞台を観に行ったんです。
知り合いの俳優が出ていたので。
そこに田中さんも出ていて、非常に輝いて見えたんです。

田中:「かもめ」(チェーホフ)ですか?

中江:ええ、確か。それからCMに何回か出てもらうようになって。

記者:延増さんは?

中江: 延増さんはCMのオーディションにたまたまいらして。
私はオーディションで、その人にどれだけ引き出しがあるか、どれくらい対応力があるかを試すんです。書かれてないアドリブなどもやってもらって。

延増:監督のオーディションは楽しいです。

中江:ありがとうございます(笑)。
で、延増さんはこちらが言ったことを的確に掴んで、かつ色んなバリエーションを見せて下さって。それから、何度かCMに出ていただきました。

ー「山田洋次が声をかけてくれた」ー

中江:今日お二人をお呼びしたのは映画の宣伝ではなくて。
このサイトを見てる方の中には、「俳優になりたいけど、どうしたらいいか分からない。どうやってスキルを上げていいのか分からない。」という人が多いと思います。
ので、そのような方に向けてお二人がこれまで歩まれてきたことが、何かの参考になるのではと…。

田中:僕が俳優になろうと思ったキッカケは、魔が差したっていうか(笑)。
カナダの大学に留学していて、空手をやっていて…。

中江:カナダは芝居の勉強で?

田中:いえ、経済学部です(笑)。
日本に帰ってきて、どこかの会社に就職するんだろうなと思っていたんですが、就職する前にやりたいことを探そうって思ったんです。
で、「人から喜んでもらえる事は好きになれる」と思って、その時に浮かんだのが役者だったんですよ。まず、どこで演技学べるのかっていうのを調べに本屋に行ったんです。

中江:あ、私も調べました。有名な監督たちがどうやって監督になったかを、京都の大きな本屋まで行って。

田中:当時、「舞台」っていう存在は知らなかったんです。俳優=映画俳優って思い込んでました。映像に出たかったんで。
そしたら、ガイドブックみたいな本に、色んな劇団が載っていて、研究生とかあって。
だったら、ちゃんと演技を学んだ方がいいなって思ったんです。
名だたる映画俳優の名前が連なっている場所が、俳優座だったんですよ。

中江:昔は、たくさんいましたもんね、有名な方が。

田中:ええ。今思うと、辞めた人の名前ばっかり載ってたんですけど(笑)。
ちゃんとした劇団は学費が高かったんですよ、50万とか。
タダだったのは無名塾と俳優座だけだったんです。
それで俳優座を受けてたら受かったんです。

中江:入る試験って何するんですか?

田中:歌とマイムとセリフ。
1次2次があって、1次の方がちょっと大雑把で、2次はセリフを相手とやりましたけど、真っ白でとんじゃいましたけどね。
でも、経験問わないって書いてあったんですよ。
僕にとってはそれは大きくて、じゃあ、僕の人柄だけ出せば上手い下手じゃないんだろうな、と思って、元気いっぱいやりました(笑)。

中江:映像の仕事はすぐに?

田中:いえ、入ってからは舞台ばっかりで。
でも、最初から鼻っぱし折られて、もう全然だめだなと思って。
サーフィンでまず波に浮くが出来ないみたいな。
出来ないから、ちくしょうちくしょうって辞められなくなって、3年経ったらそこで判断しようって思ってたんですけど、次の舞台が決まってたんですよね。で、辞められなくて。
メインで歌う芝居があたっちゃって、地方公演も行って。300ステージ8年間。

中江:すごい数ですね。

田中:でも出来ないなら、映像の世界にいったって、出来ないだろうと。
もっと下積みしなきゃっていうので、10年やってましたね。
それ終わった時に、もう辞めようと思って、一旦外部に出ようとしたんです。
それまでずっと俳優座のものばっかりだったんで。
次の段階としては、外の舞台に出るっていうのがあって…。

中江:それはどうやって?

田中:俳優座の舞台を観に来てくれた人たちが、声をかけてくださいましたね。

延増:俳優座は自由なんですか?

田中:自由ですね。一応言わなきゃいけないんですけど。ちょっとずつ出るようになって、そのうち山田洋次さんが、舞台をたまたま観に来て、声をかけてくれました。

中江:山田洋次さんの作品には、映画と舞台どちらを先に出演されたのですか?

田中:舞台が先です。その題材を山田さんがとても気に入ったらしく、映画化しようとされていたのですが、それはダメで…。
で、他で何か関わってくれませんか?と言っていただいて、取りあえず、悪役やってもらえませんかって(笑)。
あの、『おとうと』っていう映画の蒼井優ちゃんの最初の別れる旦那の役をいただきました。
その後に、京都太秦物語という短編映画で主役をやらせていただきました。

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