INTERVIEW&COLUMN

2018.01.17

AbemaTV完全オリジナル連続ドラマ『#声だけ天使』尾形竜太監督×仁村紗和対談

元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が出演した『72時間ホンネテレビ』が、社会現象的な盛り上がりを見せるなど、近年注目度が上がってきている“無料で楽しめるインターネットテレビ局”「AbemaTV」が、2016年4月の開局以来初となる完全オリジナル連続ドラマ『#声だけ天使』の放送を開始する。“最高の脚本とオーディションで選び抜いた妥協のないキャスティング”で作り上げられたという本作のメガホンをとった尾形竜太監督と、ヒロイン役の女優・仁村紗和さんに、キャスト決定の経緯や、本作ならではの現場作りなどを伺いました。

――「AbemaTV」という媒体でのドラマ作りで一番興味をもった点はどこだったのでしょうか?

尾形監督:今のドラマは、原作があって、メインキャスト決まっている状態で脚本を作ることが多いのですが、この作品は、キャストが有名かどうかではなく、脚本にあった人をしっかりオーディションして、可能性のある人と一緒に作りたいという思いがあったので、(エグゼクティブプロデューサーの)藤田さんに僕の思いを伝えたところ、「いいですよ」という返事をいただいたんです。これはおもしろいものが作れると感じました。

仁村:私たちのような若い役者にとって、正面から挑戦させてもらえる場所ってなかなかないので、すべての役柄をオーディションで選考していただけるのはとてもありがたいことだなと思っていました。

――オーディションはかなりの人が参加したとお聞きました。

尾形監督:年齢的に合いそうな人を、各事務所から呼んで、いろいろな役をやってもらいました。

――そのなかで、仁村さんが勝ち取った安西さくらという役は、どんな視点でオーディションを行ったのでしょうか?

尾形監督:さくらは悲しい過去を背負った女の子なので、雰囲気に “陰”を感じるかという部分ですかね。
仁村さんは実際はすごく明るい子なのですが、最初に会ったときに、なんとも言えない“陰”を感じてすぐにピンときました。

――主演の岸田建造に抜擢された亀田侑樹さんも、仁村さんと同じように会った瞬間から惹きつけられるものがあったのでしょうか?

尾形監督:建造という役は、初稿の脚本段階ではキャラクターが読みとりづらかったんです。
亀田くんは、オーディションに来て話をしている段階では目も合わせられないような人物だったのですが、芝居をさせたら豹変しました。
その演技をみて亀田くんが僕に建造を教えてくれたという感じでした。仁村さんとはまったく違う選考基準でしたね。

――オーディションに法則はない?

尾形監督:そうですね。でもオーディションってほとんどの人が落ちる場所。オーディションは合格、不合格じゃない。
その作品で求めている役と合っているか、合っていないかだけ。
僕らは家具屋に行ってイメージしている椅子があるかどうか。
なくても並んでいる椅子の出来が悪いわけじゃない。
オーディションを受ける人もそういう考えじゃないと心が折れちゃうので…。

――仁村さんはオーディションに臨むときは、自身のポテンシャルをストレートに出す方ですか?それとも役柄に寄せていくのでしょうか?

仁村:私は素の自分をみていただいて、役柄に合うかどうかを判断してもらうようにしています。
今回のさくらという役は、いままで経験したことがないようなキャラクターだったので、難しいなと思いつつも、自分の引き出しを増やすチャンスだと思い挑戦しました。

――カメラ映えというのは重要ですか?

尾形監督:その視点でみていると言っても過言ではないですね。僕はダンサーみたいな役者が好きなんです。
自分の動きが理解できている人。役者というのは、動いて魅せる人たちだと思うんです。
まずは動ける人。自分の動きを理解できていて、その上でそこに気持ちをのせられる人がいいですね。

――尾形監督の現場はいかがでしたか?

仁村:みなさんで意見を出し合って現場を作っていく感じでした。
監督だけではなく、俳優も、カメラマンさんも、照明さんも、みんなで気がついたことを言い合って、それをアイデアとしてくみ上げていってくれるんです。
こういう現場は初めてだったので、すごく新鮮でした。

尾形監督:いつもそういうスタイルというわけではないのですね。
でも、今回のメンバーは、俳優としてそれぞれの色をもっていますが、その色を変化させられる可能性がある人たちだったので、こういう演出スタイルにしました。

――尾形監督からみた仁村さんの魅力は?

尾形監督:俳優っていろいろなタイプがあるのですが、仁村さんは気持ちを作ってお芝居にアプローチをするメソッドタイプではないですね。
本番寸前まで、明るくて元気でしゃべっているのに、スタートがかかると途端に“陰”を醸し出せるんです。すごく俳優向きだと思いますよ。
監督によっては、現場で明るいと「べちゃくちゃしゃべっていないで役のこと考えて集中しろ!」なんて人もいますからね。

仁村:そういう監督さんもいるので、いつも現場で明るいわけではないんですよ(笑)。
今回は辛い過去を背負っている女の子で、似たような境遇の子の資料などをもらったり、本を読んでいたりして、しんどい気持ちになることもあったので、その反動で、現場では普段よりしゃべっていたのです。

――準備期間がたくさんあったのですね。

仁村:そうですね。リハーサルもしっかりできましたので、とても役にも入りやすかったです。

監督:この作品はドラマですが、スタッフの多くは映画メインの人だったが多かったので、監督として考える時間を許してもらえる現場でした。
撮影中も普通、通常、連続ドラマだと、1日脚本の15ページ分ぐらい撮影するのですが、この現場は9ページぐらいでしたからね。
丁寧な撮影をさせてもらえたので、それはきっと作品には出ていると思います。

AbemaTV 『声だけ天使』

放送日時:2018年1月15日(月)よる10時~

URL:https://abema.tv/channels/abema-special/slots/8Sy7XQ3nqCcKmR

(取材・文・写真:磯部正和)

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