INTERVIEW&COLUMN

2018.04.04

大崎章監督×山下敦弘監督 対談インタビュー 後編

ーー事務所に所属せずに活動している役者の方をどう思いますか?

山下:役者を事務所単位ではあんまり考えないですね。
大崎:じゃあ逆にフリーでも全然構わない?
山下:もちろんです。映画作っていく上で、よく一緒に仕事させていただく事務所はあるんですけど、事務所単位ってよりは、いかにその個人と仲良くなったかなので。
大崎:多分、往々にして事務所に所属しない役者は大変だっていうイメージがあるんですよね。
山下:事務所が決まっていない人から、「良い事務所ないですか?」って言われることはあるので、入った方が営業とか、ケアをしてくれるとは思うんですけど、フリーの人はフリーの人で強みっていうのがあるのかもしれないですよね。
大崎:今一番フリーで活躍しているのは、川瀬陽太さんですよね。知ってます?
山下:知ってます、すごいですよね。
大崎:でも川瀬さんは特殊ですよ。川瀬さんは努力しているし、川瀬さんほど成功する人はほとんどいないと思うんだよね。
俺、役者を事務所に紹介したことがあるんだけど、合う・合わないもあるし、いろんな役者がいるから軽々しく言えないよね。だから役者さんは事務所を選ぶときも、考えないとね。
山下:まあその人が何をやりたいかにもよりますしね。

ーー最近たくさん作られている自主映画についてはどう思いますか?

山下:観れてないですけど、いっぱい(撮っている人が)居るなって感じますね。
大崎:俺は今でも、自主映画からいっぱい出てくると思っていますよ。自分もそうだったけど(笑)
山下:まあ脈々と自主映画は続いているんだなって感じますよね。
大崎:一方で商業映画界では昔よりも予算が小さくなっているけど、自主映画は撮りやすくなているんだよね。
山下:でもどうなるんですかね?日本映画のシステムは。
大崎:もしかしたら変わるかもね。変えていかなきゃいけないし。自主映画は撮りやすくなっているけど、逆にいうと助監督は足りないし、他のスタッフも足りないわけですよ。
昔みたいに助監督をちゃんと一人一人つけなきゃいけないっていうのも変わってくる可能性もあるよね。デカい作品は助監督に優秀な人がいないとダメなんですけどね。
山下:だから俺は、『リンダリンダリンダ』で初めてそういう日本映画の作り方みたいなところを知って、やりながら学習して行って今があるんですけど。
今の若い人たちは、自分達の新しい作り方で作っていって、映画として面白くてヒットする作品が出て来た時に、変わるんじゃないかなと思いますね。今のままだとまだインディーズですよね。
大崎:最近はインディーズとメジャーの両極になっているよね。
山下:まだまだメジャーは強いけど、今はそのグラデーションの時期でしょうね。
昔からの映画が好きな20代もいるし、全くそういう感覚じゃなくて映画作っている人もいる。
いずれ変わっていって、とんでもない奴が出てくるかもしれないですね。全く映画の話が通じない映画監督も出てくるかもしれないですし。

ーーこれからの日本映画界をどう見ていますか?

山下:自分のことばかり考えちゃいますけど、監督の先輩で50代越した人の話とかを聞くと、「俺、あと何本取れるんだ?」って逆算するじゃないですか。30代でそれを聞いた時には、あんまりピンとこなかったんですけど、50歳くらいになったら「あと何本取れるんだろう?」って考え出すんだろうなって思います。
もう少し、自分の殻というか視野を広げないと、この先自分の作っていくものが更に閉じていっちゃうのかなって気はしてますね。
大崎:似たようなことを篠原さんが提言していました。これからどうすれば生き残れるかって。
山下:生き残るというか、映画1本作って、20億とか30億行く映画もあるけど、自分の映画は10分の1もいかないくらいで頑張っていて。
作りたいものを作っていくのは良いと思うんですけど、今なんかすごく中途半端だなって思っているので意識を変えないと。
大崎:日本映画界全体だとどうですかね?
山下:現場的に窮屈で圧縮されてるというか、詰め込まれているのはひしひしと感じますね。もう少し時間的な余裕とか、もう少しの余白があった方がいいのになとは思いますね。

ーー最後に役者を目指す方々に一言お願いいたします。

山下:「なんか面白い人たち」と出会えってことですかね。
大崎:面白い人たちと出会えば、血となり肉となり、自分が役者になる時にそれが反映されるもんね。いろんな面白い人たちと出会って、面白い友達を作れってことだよね。
山下:映画って総合芸術で集団で作るから、いろんな人が集まるんですよね。そこに集まれるような人になって欲しいなというか。
大崎:吸引力とか、人間力っていうのかな。それを身につけるようにしたほうがいいってことね。簡単には身につかないんだけどね。
山下:そうですね。自分のアンテナを磨けってことですね。一生就職活動ですよ。
大崎:一生就職活動!良い言葉ですね。

取材店舗:阿佐ヶ谷 KEGON

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