INTERVIEW&COLUMN

2018.07.06

俳優・岡山天音について~「愛の病」で最優秀男優賞を受賞~

僕は撮影現場において、テイクを多く重ねることがあったりするのですが、真之助とエミコの数ある大変なシーンにおいては、ほとんどテイクを重ねる必要がありませんでした。
僕がテイクを重ねる必要があると思うときは、役者自身が役にまだ感情として追いついていないと思った時がほとんどです。

少々荒い演出ではあるのですが、テイクを重ねることによって、登場人物の台詞やバックボーンを血肉化する作業をし、役者さん自身が役を役と思わず自分自身のこととして捉えられるようにしてもらいます。
役者さんが役にリアリティを持って演じるために今まで幾度となくこの演出をやってきたのですが、「愛の病」の現場ではそれをする必要がなかったのです。

真之助を演じる岡山さんは、撮影開始時から既に役を体に入れることが出来ていたからであります。
それが出来てしまうのは、岡山さんの持つ優れた感受性と、それを磨き続けられる才能の故だと思いました。

岡山さんは、今まで様々な役を映画やドラマで演じてこられました。
「愛の病」の撮影当時もまだ23歳だったと思うのですが、その若さで真之助のような、愚かで少々狂った役をすぐに体に入れることが出来るというのは、本当に凄いです。
撮影現場では僕はほとんど何も心配をせず、ただ彼の芝居を見て楽しんでいればいいだけでした。

誤解を恐れずに言うと、岡山さんも所謂「イケメン」という訳ではなく、非常に個性的な顔立ちをされています。
この顔立ちが非常にいいのです。
「イケメン」という枠組みだけで映画を語りたくないとき、岡山さんのような個性的な顔立ちのキャラクターは、クリエイターの中では非常に大切になります。
若い個性派俳優は、実はものすごく少ないのです。

そういった意味においても、芝居がきちんとできる個性的な俳優は、今後、必ず重宝されるようになります。
今の若手俳優においては、その非イケメン的立ち位置を岡山天音さんが先導しているのではないでしょうか。
このサイトをご覧になっている方で、個性的な顔立ちを活かしたい方、個性派の役者を目指す方は、岡山さんの活動を参考に出来るのではないかと思います。

「愛の病」は現在DVDセル・レンタル中ですので、今回のコラムで興味をもたれた方は是非ご覧になって頂ければ幸いです。

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