INTERVIEW&COLUMN

2017.08.14

ワークショップの課題

『好きでもないくせに』、『スキマスキ』などの代表作をもつ監督・吉田浩太さんの連載コラムが始まります。 第一回は俳優ワークショップの課題について語っていただきました。

監督:吉田浩太

1978年東京都生まれ。シャイカー所属。早稲田大学中退。
ENBUゼミナールを卒業後、映像製作会社シャイカーに入社。
入社後、『象のなみだ』(西東京市民映画祭審査員特別賞)を監督。
2006年『お姉ちゃん、弟といく』で、第2回CO2映画祭主演女優賞〈江口のりこ〉、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門審査員特別賞を受賞。
2008年、若年性脳梗塞を発症し、手術・治療のため、休養生活に入る。
一年の休養の後、復帰作の『ユリ子のアロマ』を完成。
ドイツニッポンコネクションでスペシャルメンションを受賞した後、長編デビュー作として劇場公開をした。
2011年、『ソーローなんてくだらない』を制作。
レインダンス映画祭でベストインターナショナルコンペ部門にノミネートされた。その後も様々な作品を作り続けている。
代表作に『オチキ』(2012)『うそつきパラドクス』(2013)『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(2013)『女の穴』(2014)『スキマスキ』(2015)『好きでもないくせに』(2016)
テレビドラマ『黒い報告書~誘蛾灯の女~』『徳山大五郎を誰が殺したか?』『豆腐プロレス』など。
2017年度内に、二本の長編映画を制作予定である。

今まで(現在も)俳優ワークショップを相当な数を請け負ってやってきました。
最近では自分が所属する会社でもワークショップを開催もするようになりました。
自分の会社でワークショップを開催するとなった時(まずは自分が第一回講師となりワークショップを行ったのですが)、そのワークショップを行うモチベーションとして一番考えたのが、俳優たちとワークショップ後にどのように関係を繋がっていけるか、ということでした。

ワークショップの生徒とフェイスブックで繋がって飲み友達になる、という関係だけでは意味を成さず、いかにして仕事として付き合っていけるようになるかが重要です。

監督/俳優という関係を築くこと。その関係の構築を、ワークショップを請け負った者は考えなければならなくなります。しかし、その関係の構築は壁として立ち塞がりもします。
現実的にはフリーの役者との仕事・キャスティングは、商業ベースの映画作りにおいて難しくなってしまうからであります。

どうやったら監督/役者の関係を築いていけるのか。
そんなワークショップの課題を考えている時に、丁度このミラーライアーのコラムの依頼をもらいました。
正直このミラーライアーと言う運動が、今後の俳優の道にどのような効果をもたらしていくのかは全く未知数だったのですが、願いを込めて、こういった運動が活発になり、俳優の生きる道が広がることで、俳優と自分との有機的な関係が結べるようになる一つの契機になりえたらいいな、と思い、コラム依頼を引き受けさせてもらいました。

先月末、丁度新作を一本撮り終えたのですが、そのヒロインにキャスティングしたのは、とあるワークショップで知り合えた女優さんでした。
(名前はまだ伏せますが…)映画のキャスティングには様々な制約がつきものですが、今回の映画は幸いにも映画として純粋に必要な人をヒロインとしてキャスティングすることが出来ました。
ワークショップを通じたことでその人の魅力、芝居が分かった上でキャスティングにつなげることが出来たのです。
つまり、純粋に映画としてのキャスティングが出来たと言えます。この経験は僕にとってとても大きなものでした。
この経験値を今後もっと広げていきたいと思っています。そのためには、より様々な個性的な俳優との出会いが必要です。

自分が信頼する人をキャスティングして純粋に映画を作っていく。
そんな単純なことが、今の映画制作体制においてはとても難しかったりします。

もちろん自分が望むキャスティングだけが全てではなく、様々な要因を纏めて作っていくのも監督の仕事ですし、今後も僕はそういったキャスティングもしていくとは思います。
ただ、映画のためだけに純粋なキャスティングのみで映画が作れるであれば、やっぱりそうしたい。

ミラーライアーのような場が広がり、自分が本当に信頼の出来る俳優と純粋に映画が作れる環境が整っていけば、自分が理想とする映画作りの環境にも影響を及ぼすと思いますし、及ぼすように自分からも働いてみたいです。
ミラーライアーと自分との関係がそんな風に有機的になればいいなと勝手に思っています。

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