INTERVIEW&COLUMN

2017.09.19

映画『望郷』公開記念!菊地健雄×貫地谷しほり×大東駿介インタビュー

——本作では全編、因島を中心とした瀬戸内地方で撮影されています。

大東:やはり監督をはじめ、スタッフのみんなに「この作品を作るなら、湊さんの故郷である因島でやりたい」という思いがありました。
やはり島に行くと気付くことがいっぱいあるというか。いい意味で、何も考えずにいけましたね。

菊地監督:そもそも僕は助監督時代が長かったんで、どういう環境を持ちこんだら、俳優さんにいい芝居をしてもらえるのかということは常に考えています。
そのやり方の中のひとつとして、どういう場所に立ってもらうのか、どういう人と組んだら、いい化学反応が起こるのか、ということがあります。
どうしたらカメラが回っている本番に向けて芝居のピークを持っていけるかということをいつも考えているし、そのためにできることは何でもやりたい。
これはすごくおこがましい言い方になるかもしれませんが、やはり今までに観たことがない貫地谷しほりさんを撮りたい、今までに観たことがない大東駿介さんを撮りたいという気持ちがあるんです。

——実際に因島に行ってみていかがでした?

菊地監督:僕がデビュー作で故郷を描いた時もそうでしたけど、やはりそこで育った人が見た風景じゃないと発想できないものがあると思うんです。
俳優さんは生身の人間なので、そこでいろいろと感じたものを吸収して、芝居をしてもらって。
そこで彼らから何を引き出したいのかを、僕の中で明確にしておけば、いい化学反応が起きるのかなという感じはします。

貫地谷:ロケで使わせていただいたお屋敷は、よく見ると柵になっていて。
監督から「ここはそれが牢(ろう)や、おりのように見えるんですよ」と言われた時に急にゾッとしてしまって。
(自身が演じた)夢都子はここで縛られて生きてきたんだな、というのを感覚的に教えてもらったような気がして。そういうことはやりやすかったですね。

大東:僕は、場所というのは芝居に影響すると思っていて。因島で言うと、造船が盛んだった時期にはすごく活気があったんだろうなと。
しかし人がいなくなっても、その面影や息づかいみたいなものが町や建物に残っている気がするんです。

貫地谷:そういう場所で撮っているんだもんね。

大東:僕は時間があったんで、ずっと車の運転をしたり、海辺でボーッとしたりしていたんです。
その時間というのは(自身が演じた)航の時間でもあるから。自分の頭の中で、台本と自分の経験を照らし合わせるだけで、役を作っていくということも大いにあるけれど、せっかくその場所があって。
そこの息づかいを感じることができるのならば、そこに飛び込んで、想像していくことが、自分にとっては面白い。
だから因島に行ってみて、そこで新しくできた友だちもそうですが、自分の中になかった景色や、なかった考え方、それらが全部、僕からすれば、自分にない歴史をもらっているような気がしていて。
だからそれは、僕にとっては大事なことでしたね。

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