INTERVIEW&COLUMN
2017.11.16
/// 手に入れよう /// 素敵な定期収入
金沢に移住して一ヶ月が経ちました。
「地方での働き方についてリポートする」という趣旨の本連載ですが、最近の私ときたら、ひたすら脚本を書く→提出→ダメ出し→ふて寝→また書く、の無限ループ。
今のところ面白い働き方をしていないので、地味な働き方について考えました。
ひとが大人になると好きになる3つの言葉があります。
「三連休」、「繰上げ返済」、そして「定期収入」。
フリーランスだったり、役者として頑張るmirroRliarのユーザーさんだったりなら、きっと「定期収入」のきらめきを誰より理解されていると思います。
私が金沢に移住しても食べていけるのは、映画や映像関係の収入がコンスタントに入るからではありません。(というか、前作の二次使用料がちっとも入金されないんだが!)
映像関係の仕事のほかに、某ソーシャルサービスのバイトをリモートでやって、定期収入を得ているからなのです。リモートとはつまり、金沢の自宅にいながら東京の企業の仕事をしているわけです。(出勤しなくていいし、24時間好きな時間に働けるし、いつでも急に休めるし、とってもオススメ。)
とはいえ、我が家が移住しても食べていける主たる理由は、夫が会社員として働いてくれているから。不安定で、産休育休のないフリーランスの私を、がっちりとサポートしてくれるのです。
しかし、夫が東京で勤めていた広告系動画(CM)の制作会社はブラック、漆黒、闇を煮詰めて煮詰めてジャムにしたようなドン黒。
朝8時に家を出て、帰ってくるのは平均深夜3時。24時前に帰ってくることなんてほとんどなく、翌朝帰宅し、シャワーだけ浴びて再出社という日もザラ。
その上、残業代という概念も、休日出勤という概念もないという惨状。
「そんなの映画の現場じゃ普通」と思う方もいるかもしれませんが、映画の撮影はそのうちクランクアップしますよね。でも会社員の場合、辞めるまで終わりがない。
転職活動をする余裕すらなく、「その日を乗り切る」という毎日が続くのです。
また、会社がブラックなら家庭もブラックになり、土日を含めてほぼ母子家庭状態のワンオペ子育て。
加えて、まず終電で帰れないから自転車で帰れる場所に住まなきゃいけないし、ずっと高額な家賃を払っていました。…辛い。
そんな前職を辞め、夫が転職したのは金沢の某広告系のデザイン会社。
新たにできた映像製作部に配属され、これまで経験を活かせる職を得ることができたのです。
まともな人間が帰る時間に帰宅でき、残業代が出て、土日休み、昇給も有給もあり。
加えて代理店を通さない直案件も多く、社内にデザイナーがたくさんいるのでクリエイティブにこだわることができる。ドローンを飛ばせる場所がたくさんあり(もちろん申請した上で)、仕事が超絶に楽しいのだとか。
うちでは夫が子供と過ごす時間が増え、私がネトフリと過ごす時間も増えました(やっとナルコスseason3を見たよ)。めでたし、めでたし。
フリーランスと会社員、それぞれに辛いところや自由なところがあり、本当にどちらが良いとは言えません。人によるし、会社によるし、時代による。
でも、どんな働き方をするにせよ、ながく映画や演技に携わっていくのであれば、安定した収入が必要です。そして、その環境は自分で作らければなりません。
スタッフとして現場に飛び込むのもよし、バイト先で社員になっちゃうのもよし。なんとか定期収入を得て、安心して芸事に邁進して欲しい。
生活は今週、今月、今年だけでなく、下手したら90歳になるまで続きます。病気になったら翌日から働けないし、子供を持ったり親の介護をすればお金がかかる。
そんな「ちょっと先」まで見据えた人生の事業計画を練ってみてはいかがでしょうか。
なんかこの連載ってやたらとお金の話になりますが、やっぱり若手の役者さんや監督さんは業界に搾取されがちだから。若者のやる気や好意につけ入りすぎだと思います。
私は訴えたい。スタバはショートサイズで十分だよ。
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