INTERVIEW&COLUMN
2018.01.23
大崎章監督×篠原哲雄監督 対談インタビュー 後編
大崎:映画を取り巻く環境の10年前からの変化をどう思いますか?
篠原:10年前よりもっと前だけれど、自分が助監督だった時と監督になってからは格段に予算形態が変わったよね。
どんどんそれが低予算化しているじゃない。それはやっぱりみんなもいうけどデジタルになったっていう功罪とも言えるが、逆にいうと何でも撮れるようになって、誰でも監督になれる時代になったんですよ。
ロクでもない映画も正直言ってありますよ。ワークショップなるものが出て来たお陰で、もちろんいいこともありますよ。
ぐいぐいと自分のやりたいことを監督が勝手にやらせるのではなくて、やっぱりこういう企画をこういう方針で作って欲しいっていうことをちゃんとリードできるプロデューサーは必要だし、そういう存在は居た方がいいんですよ。
この10年間の違いで言えば、どっちかというと監督の時代よりもプロデューサーの時代っていう風にも僕は感じるのはそういうところでもある。
つまり製作委員会っていう(仕組み)がしっかりあって、監督だけではなくてお金を出してる側が何を求めているかがちゃんとしているとこちらはそれに向かって作っていくという、そういう作家の映画ではない、商業の映画ってものがちゃんとそこで作られているから。一方で両極端にそういうものがあった方がいいと思っているわけ。
大崎:この先10年はどう思いますか?
篠原:10年ね。僕はそういう監督独自の作家性映画が歴然と残っていくと思うし、プロデューサーと組んで商業的な作品を作るにしてもホコ先を定めた映画というのかな、誰に見せたいかどういう戦略でというプランがはっきりした映画が残っていくと思う。
一方で、さっき言った自分で切り開いて監督になった人たちがどういう風に生き残っていくのかにも興味がある。
僕は伊参スタジオ映画祭ってところで十数年、シナリオ大賞の審査員をやっているんですよ。
大賞作品に主催の中之条町が少額ですが支援して映画を作れる。
今までで作品としては中編短編で30本強くらい制作されている。
つまり監督になった人が30人いるわけですよ。
でも、実際そこから先、しっかりとした作品を撮れている監督って今のところ外山文治さんと金井純一さん、飯塚俊光さんとか、何人かいるわけだけど、この先も皆が撮り続けられるかというとそうでもないと思う。
映画を撮り続ける底力みたいなものを身につけていく必要があると思う。
それは何かと言うと脚本を自分で書くだけでなく、全ての事象において人と共存していく能力とさばき方に長けること。
そして運を味方につけるということでしょうか。
なんだか偉そうですが、すみません(笑)
自分なりに関わる作品を分析していく努力と能力を身につけないと、簡単には浮上できないような世の中になると思うので、自然と淘汰されていくことになると思います。
世の中全体に、しっかり努力をしている人は活躍できていると思うので、10年後でも努力をしていれば、活躍できる人になっていると思います。
大崎:映画を取り巻く環境が変わってきましたが、その状況下で俳優さんはどうあるのが良いと思いますか?
篠原:俳優さんが成功することって、どう生きるかに近いじゃないですか。結局、俳優になりたいのなら常に映画を作るという視点で物事と向き合ってもらいたいと思うし、自分が何をしたいのか、どうありたいのか考えないと、それも淘汰されると思います。
大崎:たまにワークショップでも、何がしたいのかよくわかってない人もいますよね。それって本人に伝えた方がいいのかな。
篠原:いるね。やめた方がいいんじゃないって伝える勇気も必要かもしれないね。とはいえ、いいところもあったりすると、そこは伸ばしてあげたいと思うわけ。
じゃあ、その人たちがどうすればいいかって普段の考え方を変えるべきなんですよ。
本当に生き残るためには、ただただ憧れて映画に出たいとか、そういうのじゃなくて、まずはワークショップだったりなんなりに来て、しっかり考える。
その積み重ねで自分の考え方って変わってくるじゃないですか。
格段に変化するじゃないですか。
それを掴むためにワークショップをやってんじゃないかって思うんですよ。
大崎:今後撮ってみたい映画はありますか?
篠原:自分自身の作品で、社会性の強い映画が少ないわけですよ。あえていうとね、最新作の『花戦さ』って、ある意味時代に対して、時代劇だけど、政治に対して物申してるわけですよ。
まあその意味で時代劇だからこそ、出来ていることなんだけれど、ああいうのを現代劇で何かできないものかと。社会を揺さぶるような、観る人を揺さぶるようなものを。
社会的事象の中で、作り出していきたいと思う。実際の事件から引き出したものだとか。
取材場所:コーヒーロード
TEL:03-3383-0022
住所:東京都中野区中野2-25-3 阿形ビル 1F
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