INTERVIEW&COLUMN

2018.02.22

大崎章監督×松永大司監督 対談インタビュー 前編

ーー松永監督と映画の出会いを教えてください

松永:決定的にこの仕事に関わってみたいと思ったのは、中学三年生の卒業式の翌日です。
中学校の卒業式は三年間いても、全く何の感慨深さもなく、早く終われみたいな感じだったわけですよ。
その翌日に「今を生きる」っていう映画を観たんですけど、急に涙が込み上げてきて。
僕の三年間通った中学校の卒業式は何の思い入れもなかったのに、たった1時間半とか2時間の間で僕は感情を揺さぶられて泣きそうになってしまった。
その時、この仕事に関わりたいなこういうことをやりたいなって思ったんです。
中三のあの日から、僕の映画の趣味が変わったんです。僕は「映画に関わりたい」って。

ーーそれから役者の道に行ったの?

松永:高校を卒業して、大学に行きました。基本的に頭が悪いので、要するに映画に関わることがどういうことなのか全くわかっていなかったんですよね。
だから、スクリーンに出てるのが役者しかいないから俺はこれになろうと思ったんです。
その時に、監督とかスタッフがいるとかいうイメージは無くて。結局、映画を観て何に感化されたかというと「俳優」に惹かれたんです。
だから僕はこの中に入れば、こういう人たちになれるなと感じたんです。
それで、大学を卒業する時に関わり方がわからないから、舞台に応募したら、受かって。
いろんなことを勉強しながらも「僕は映画に行きたいんだ」って思ったんです。

23歳くらいの時、矢口史靖さんが監督をしていた「学校の怪談」っていうテレビドラマのオーディションを受けて、受かって。
その時初めて監督って人がちゃんといるんだってことに気付きました。
その後、ウォーターボーイズに出て、撮影やシンクロの練習など矢口さんの仕事を見ていて「こうやって映画ってできて行くんだ」って知って。終わった時に、僕は撮る方になりたいって思ったんです。
それから10年かかり、僕は35歳で監督デビューをしました。

ーー松永監督自身が映画づくりで大切にしていることはありますか?

松永:映画を作る時、自分自身に対して、一番言い聞かせてることは、作品の内容とは別で自分に負けないというか「嘘つかないようにする」ことです。

ーー「負けない」っていう感覚は具体的にどんな感じですか?

松永:「他人に対して優しすぎない」ということです。
自分は「もっとこうしたい」っていうところははっきり口に出して言うようにしています。
だから役者に対しても映画づくりに対しても厳しいことを言ってたとしても自分が「こっちの方が映画が良くなるであろう」って思った時に、変な優しさは捨て、僕が作りたいこの映画を一番いいものにしたいって思っていて、それを一番大切にしてます。その為にも自分に負けないこと。

ーーなるほど。尊敬します。
「トイレのピエタ」は成功だと思うんですけど、まずはそのキャステイングですよね。
野田さんみたいな役者としてのキャリアがあるわけではない中で、どうやって引き出していきましたか。

松永:主人公の園田宏になる、ということですね。宏になれる素質はあったんです。
そして、それを引き出すために何回も二人でご飯に行きました。
演技の話ではなく、お互いの普通の話をしていました。
だから、洋次郎は「俺、演技の練習しなくていいの?」って聞いてきたんだけど、「しなくていい」って言いました。
これは僕の持論なんですけど、芝居って嘘をつくことじゃないんですよね。
ちゃんと気持ちをその人自身が持っていて、それが出てくるだけなんですよね。
だから、中身をしっかり持っていない人はダメで、普段から喜怒哀楽を経験していなかったら、表現者にはなれないと思っていて。演技論とかを話している人とかいると思うんですけど、それ以前に、あなたは精神的・肉体的なものを揃えているんですか、と。
洋次郎の言葉で印象的だったのは、「僕は芝居の経験はないけれど、何万人の前で歌を歌っているときに、お客さんは嘘を見抜く力を持っていて、その怖さを知っているから、カメラの前でもそこはきどらないで取り組んでいます。」と言っていて。ちゃんと一貫した考えを持っていて、延長線上をして考えることができているんですよ。
その人の本質が知りたくて、本当の意味で「むき出しになれるか」だけを見ていますね。
だから、日々をしっかり生きるということです。

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