ロードバイクに青春を捧げた若者たちを描いた映画『神さまの轍 -Checkpoint of the life-』に出演中の注目若手俳優、岡山天音さんにインタビュー。
作品のこと、俳優という仕事の面白さ、悩みとの向き合い方などについてお聞きしました。

ーー今回の小川洋介役とは、どのように向き合っていきましたか。

岡山天音（以下、岡山）：僕が演じた洋介は現実に焦点をあてて生きていて、あまりはみ出そうとしないタイプの人だなと、最初に台本を読んだ時に思いました。
洋介と仕事は全然違いますけど、わりと共感できる部分があったので、迷いとか理解に困る部分は無かったですね。最初から自分と近いところにいる人だなと。

ーーロードバイクはかなり練習されたようですが、普段からスポーツはされますか。

岡山：スポーツは全然やらないので、体を動かす役はハードルが高かったです（笑）。
でも、自分が興味関心を持つことってすごく狭いと思うので、自分がノーマークだった分野にも仕事で引っ張っていってもらえたりするので、面白いですね。
意外と自分に合っていたり、また別の分野の仕事や趣味に反映されたりするので、そういう出会いは、この仕事のめちゃくちゃ素敵な点だなって思います。

ーーミラーライアー賛同者の阿部進之介さんと共演されていましたね。現場では結構お話されましたか。

岡山：撮影中にゴハンを誘って頂いて、好き勝手質問させていただいたり（笑）、色々話しましたね。
泊まり込みで撮っていたこともあり、１人１人と会話ができて、みんなで映画を作っているのを感じられる現場だったのが嬉しかったです。
あと、阿部さんは監督からの指示を、ちゃんと自分の形に変えて、変換するんです。足し算の芝居っていうか。その姿を見ていて、すごいなって思いました。

ーー岡山さんの今までの俳優人生の中で、悩んだ時はありますか。

岡山：今もそうですけど、めっちゃありますね。最初の頃とかは、全然自分に自信が無かったので、監督から演出を付けられないと、どう動いていいのか行動に移せなかったんです。
セリフや台本を読んでも、この言い方が正しいのかどうかとか、めちゃめちゃ的外れな読み方をしているんじゃないかとか。
考える技術、悩む技術みたいなのが無かったので、ただ闇雲に、壊れない壁にずっと頭を打ち続けてるみたいな感覚でした（笑）。
僕の場合は、現場以外で同じ仕事してる信用できる人と話をしたりとか、ワークショップを受けたりして、自分の足で歩くことが出来るようになっていきましたね。

ーーこれから俳優を目指そうとしている人や、今悩んでいる人たちは、どんなことをしていくと良いと思いますか。

岡山：悩んでいる時は、とにかくいろんな人に会ったり、いろんな価値観や視野を手に入れてみるっていうのが一番ですかね。
あとは、他の人の視点になって、いろんなものを観てみるとか。でも、僕が思い悩みながらも辞めずに役者を続けて来られたのは、人との出会いが大きかったですね。
いつ出会えるかわからないですけど、鍵を握ってるのはやっぱり人だと思います。

ーー結構いろんな人とお話する方ですか？

岡山：仕事柄、現場でいろんな人と会うので、少し苦手な人だったり、無意識にジャンル分けしてしまうような人でも、その人自身を見るようにしています。
がさつな人や、距離が近すぎる人でも、なんでだろう？とか、なんでその人はこういう言い方や行動をしてしまうんだろう？って理解しようと考えますね。
あとは、逆に人と会うのを絶ったりもします（笑）。
役者は、何が起きてもそれを全て自分の中で栄養に変えて、戦って、勝っていかないといけないので。もっと役者として、自分の中の理想に近付きたいので、今もいろいろ試してるって感じですね。

ーーでは最後に。本作の主人公たちのように、何かに迷ったり、何かを探したりしている若者たちに、一言伝えるとしたら何と伝えますか？

岡山：一番大事なのは、「何を選ぶか」というよりも、ちゃんと自分で「選ぶことをする」ってことかなと思います。
選択することを繰り返して積み重ねていくと、自分で価値を見出したものと一緒に人生を歩んで行くことが出来るんじゃないかなって。
この作品も、観てくれた人が自分の歩んできた道とか、観てくれた時の状態で持ち帰って、映画をその人のものにしてくれたら嬉しいです。
ラストもそういう終わり方になっているので。