5月12日(土)より、新宿武蔵野館ほかにて公開となる映画『四月の永い夢』。詩人としても活動している中川龍太郎監督に、作品に込めた想い、キャスティングのポイント、ロケーションへのこだわり、これからの映画をつくる環境などについてお聞きしました。

ーー『四月の永い夢』を作ろうと思った経緯を教えていただけますか。

中川龍太郎監督(以下、中川):身近な人の死という軸足は、前作の『走れ、絶望に追いつかれない速さで』と同じですが、『四月の永い夢』は、視点を女性にして、立場も恋人というカタチにして描いている作品です。
離れた視点から大事なテーマについて語れるというのが、自分が映画をつくる上での人間としての成熟や進化でもあると思い、描いていったのが発想のスタートでした。

ーーキャスティングのポイントの1つが「声」ということで。どうやってキャステイングをして声のグラデーションを作っていったのでしょうか?

中川:朝倉(あき)さんの声を軸にして、キレイに混ざり合う声の人を選びたいなというのがありました。
三浦(貴大)さんは低い落ち着いた声だし、川崎(ゆり子)さんはちょっと子供っぽい声で、高橋(惠子)さんも特別な深い声が印象的でした。

ーーロケーションや小物にもすごい細部までこだわりを感じました。

中川:予算の大きい映画ではないので、美術を隅から隅まで作ることはできませんが、この作品の世界観からずれないように、ロケ地選びは頑張りました。
基準として、絵本の中にいるような閉ざされ方になると良いなと思っていて。
あったかい春の昼下がりに目覚めてしまったというような、ぽかぽかしているんだけど気怠いという感じ。
アパートの中は美術部の速水萌さんのクリエイティブが発揮されています。空の金魚鉢とか。いろいろこだわって作ってくれました。

ーー「手ぬぐい工場」をセレクトしたのも作品との関連性があるのでしょうか?

中川:手ぬぐい工場は、彼女の心に少しずつ染みていくみたいなイメージから、染め物がいいなと思っていました。
あと、映像的にも風が見えるんです。風って映像に映りづらいから、手ぬぐいはもってこいだなって思って(笑)。
もともと「かまわぬ」という手ぬぐいのブランドが好きで、作中の浴衣なども作っていただきました。

ーー作品の中で、初海が1人で歩くシーンが印象的でした。ポイントで歩くシーンを入れているのは意図があるのでしょうか?

中川:自分は喫茶店にいてもあんまり考えが出てこないんですよね。1人で黙々と歩いている時のほうが、アイディアや自分の悩みなど考えていることが出てくることが多くて。
そういう自分の経験も1つはあります。もう1つは、朝倉さんはとても背筋の良い人だから、彼女が真っ直ぐ歩いているのを真横から撮りたいなというのもありました。

ーーシーンごとに、彼女の心情がすごく伝わってくる歩き姿でした。

中川:嬉しいです。もっと長く撮りたかったくらいですが、あんまり長いとさすがに自分で観てもうとうとしてきちゃうから(笑)。