INTERVIEW&COLUMN
2018.05.10
世界が注目する若き監督、映画『四月の永い夢』中川龍太郎監督インタビュー
ーー中川監督の作品は、役者さんたちが毎回新鮮な表情や姿を見せている気がします。現場では、どのような会話やコミュニケーションを取っているのでしょうか?
中川:映画の中身より雑談も多いのですが、何を話すかということと同じくらい、どのくらいの分量を話すかということも大事だと思います。
この作品を作る中で、朝倉さんは人に対して壁がある役ですので、朝倉さんとべちゃくちゃ喋るのは違うと思いました。
でも、三浦さんはオープンマインドで現場に居てほしかったので、結構話した方が良いなと思っていました。
役柄によってどれくらい話すか考えるイメージです。三浦さんが話しやすい方なので相当おしゃべりをしてしまったのはありますが(笑)。
朝倉さんとは距離感は意識しましたね。あと、何故この役をあなたにやって欲しいかというのは丁寧に話しました。
こういうあなたを見てみたいし、周りも見てみたいはずだということを伝えました。
ーー中川監督がオーディションとか、キャスティングする上での絶対条件はありますか?
中川:人間として誠実なことに尽きます。自分の心に対して向き合おうとしていることとか、人を大事にしようとしていることとか。その誠実さが自分の中では特に大事だなと。
ちょっとした所作だったり、話をする中で、信用できる人かどうかは見えてくると感じます。
技術としての演技を磨くことも勿論大切ですが、自分の人間としてのレベルをあげることがもっと大事なのではないでしょうか。
それは監督も同じだと思います。今まで自分の映画に出てくれた人たちの多くは本当に誇れる、尊敬できる人たちだったと思いますね。
ーー役者の芯の部分まで観ているなと感じました。今後、どんな役者さんに出会ってみたいですか?
中川:映画にとって映っている人間以上に大切なものは無いと思うので、僕は映画をつくる時、物語よりも「この人を撮りたい」というところから始まることが多いです。
その人の中にちゃんと「詩を持っている」人は素敵だと思います。自分にしか触れられない領域というか、お城みたいなものを持っている人。
そして、やっぱり器用な人よりは、多少面倒な人の方が良いと思います。
「困った部屋」みたいなものが自分の内側にある人のほうが、知りたくなるじゃないですか。
ーーこれから先、日本の映画をつくる環境はどうなっていくと思いますか?
中川:それぞれがみんな「美しい離れ小島」を作れば良いんじゃないかと思います。
何百館のスクリーンで公開するとか、カンヌ(国際映画祭)で賞をとるとか、それぞれ別軸の2つの高い峰があったとしても、みんなが一斉にそこを目指していく必要はないんじゃないかと感じます。
そういうことよりも、もっと自分や自分の顔の見えるコミュニティで、自分が良いと思うもの、誠実だと思うものを、小さな無人島を耕していくというイメージで映画づくりの環境を豊かにしていくことが必要だなと思っています。
ーー役者さんもそうですよね。
中川:そうですね。打席に立たないと成長しないですしね。巨匠で5年に1本作っている人も、若い頃はテレビドラマやプログラムピクチャーたくさん作っていたりしますし。
打席に立って掴んでいくものがあるだろうし、出ることで経験を積むことができると思うので。
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