INTERVIEW&COLUMN

2018.01.22

大崎章監督×篠原哲雄監督 対談インタビュー 前編

大崎:俳優へのアプローチの仕方はどんな感じですか?

篠原:『草の上の仕事』で言うと、太田光さんじゃないですか。その当時の太田さんは普段は物静かで喋らない人だったわけ。そう言う人が一言言うセリフがすごく効いてくるような作り方をしたかったんですよ。
だから役者さんを台詞を通して自分の型にはめようとしてたんですよ。
そういうような引き出し方しか出来なかったのだけど、『月とキャベツ』の頃から物語の中で、役者さんの人の持ち味や魅力を生かすって方向に変わっていったんですよ。
特に山崎まさよしさん本人から何を引き出せるかということを意識していたので。
でも、『洗濯機は俺にまかせろ』の時は面白かったかもしれない。
ガンガンやると飽きちゃう、一発目が面白い役者もいれば、だんだん良くなってくる役者さんもいたりで、俳優とこうやって仕事するんだってところがあの仕事は一番面白かったよね。
素人みたいな役者さんは、逆にいうとどこにどう馴染ませるかをもう一方でトライしなきゃいけなかったり。

大崎:そうそう、人によって違う。

篠原:佐藤浩市さんなんかはもう自分の方でプランニングがあるわけですよ。
後々のシーンとの関連も含め、自分がどうしたいか言ってくるので演出プランとも照らし合わせ理解出来るところは了承して、現場でやって貰って納得するみたいな。
すごく脚本から一歩踏み出して、っていうか脚本をどういうふうに解釈してどういうふうに芝居を飛躍させるかっていう能力に長けてる人だったのでこちらも勉強になったかな(笑)。

大崎:新人へのアプローチはどうですか?

篠原:これはね、僕の経験でいうと香里奈さんを例にとると、『天国の本屋』と『深呼吸の必要』に出てもらって、『天国の本屋』が先だったんだけど、殆どお芝居初めてですよ。
もう一から十までこうしてくださいとか指定してやる芝居だったわけ。
だけど「深呼吸の必要」は自分で動かないといけない役で、あれは6人が共存してなぜそういう動きなのか、なぜこういう動きなのかってことをみんなが考えて動かないとできない映画だったので、「君たち考えてくれ」と。「俺は言わないから自分たちでやってくれ」と。みんなそれを自分たちで考えて動き出すわけ。
次こうなるからこうなんじゃない?って問いかけながら、うーん、じゃあ私こうします。ああいいじゃんそうしようとか。
そうやって決めて行ったんでようやく一人の女優さんが考えるっていう瞬間に立ち会えたのよ。それが僕は良かったなって思って、だから新人の時はそういうやり方。なるべく考えさせること。

大崎:ワークショップで動けない役者とかいるんじゃないですか。

篠原:困るよね。

大崎:そこから抜け出すために本人らがどういうところを意識していけばいいのかな。

篠原:最低限さ、当然セリフは入ってなきゃいけない。自分の中で何がどうあってこうあるのかってことを検証できてなきゃいけない。
考えるってことなんですよ。
例えば、脚本を分析して、起承転結の承で立ち上がるとか転で振り返るとかあったりするでしょ。そういうことによって変わっていくわけですよ。結果、最後座るとか。
そういう内容と動きの連動を考える方法も伝えます。
書かれてなくても、そこで立てばいいじゃん、立ってみろよとか。台本のワンシーンに、どうすべきかが書いてあるのよ。または行間をどうすくい取っていくのかを思考する。
それをわかってくると、ああなぜそうなのかっていう動きが自分の中で発見できるからそれでやればいいじゃん。それでやんなよってことをやってるのね。

大崎:さっきの関連で今仕事のない、くすぶっている役者になんて声をかけますか?

篠原:それはね、やっぱり今アルバイトで生活してやっとなのかもしれないけどでもなんかさ俳優ってそれぞれに将来的展望とかあるでしょう。
例えば、1年後は主役でいたいとか、5年後は売れてたいとか。そういうイメージを自分の中に持った方がいいんじゃない?
俺もそういう風に、監督になる時に助監督を始めた5年後くらいにはぴあで入選するぞとか。10年後には監督するぞとか。自分自身で目標を定めたわけ。

それは役者もおなじで、次何やるどんなものがやりたいのか。意外に考えてない人が多くて、俳優やりたいならどんなものに出るとか。
ワークショップで思うのはお前ら俺の映画全然観てねえじゃんって。
その監督がどんなことをやりたい人なのかっていうのを観てからくれば違うじゃん全然。そこからまず考えて、自分で参考にしていかないとね。

大崎:若手のスタッフ、キャストたちとのコミュニケーションの測り方や距離の詰め方で意識していることはありますか?

篠原:俺はなるべく、若い奴らの気持ちを聞こうとか。
『プリンシパル』っていうのは高校生の話があって、黒島結菜さん、小瀧望さん、川栄李奈さん、高杉真宙さんらが出演。
この四人に関しては、僕は特に黒島さんには、女の子はこういう時に、どう感じるか、それでキュンキュンしなきゃいけない場面とかでどういう風にしたらときめく?とか、その時に具体的に何をする?とか。
そういうことを聞いて、その芝居をやってる時に本当はどうする君だったらどうする?って そうやってわかんないことは聞く!恥ずかしがらずに。

大崎:若い人に?

篠原:うん、若い人に感覚を聞くっていうのが俺は大事かなって思う。

大崎:距離の詰め方は?

篠原:自然に距離は詰まるよ。
こっちも心をひらけばいいんだ。
心を開かないやつには「こっちはこんなことしてんだから何でこないんだよ」と言うんだよ。そこはしっかり言うべきだと思っています。

取材場所:コーヒーロード

TEL:03-3383-0022
住所:東京都中野区中野2-25-3 阿形ビル 1F

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