INTERVIEW&COLUMN
2017.08.01
14歳〜初めて映画をつくりたいと思った日〜
『おんなのこきらい』『サヨナラ人魚』などを手がける映画監督・加藤綾佳さんによる連載コラムが始まります。
日常に寄り添ったテーマ。それを意識して生きてみることが表現活動につながったりする。
そうしたことをご自身の経験を交えてお伝えしていくコラムです。
第1回のテーマは「14歳」。
加藤綾佳さんが映画を作ろうと思ったきっかけを記します。
加藤綾佳(かとうあやか)
映画監督。映像ディレクター。
1988年10月17日生まれ。
映画美学校12期フィクションコース修了後、初監督作『水槽』を製作。ぴあフィルムフェスティバル2012コンペティション部門に入選。
その後、映画やCMの助監督や制作スタッフを経て、2015年『おんなのこきらい』にて劇場デビュー。
現在、映画のほかWEB-CMやPVのディレクターとして活動中。
代表作は『おんなのこきらい』『サヨナラ人魚』。現在、最新作の長編映画『いつも月夜に米の飯』が公開待機中。
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「映画監督になろうと思ったきっかけってなんですか?」
この仕事をしていると、インタビューなり、ちょっと飲みに行った先なりでしょっちゅう聞かれる、退屈な質問。 そんな質問をされるたび、わたしは田んぼ道を越え、ガラガラの小さな電車に乗っていた自分を思い出す。
14歳。コンビニに行くにも車を出さなきゃいけないような田舎町に生まれ、丸襟シャツにヒモリボン、膝丈よりも長い、重たいスカート。 自分が毎日着るはずの制服も、そんな格好で行かなくてはいけない学校も大嫌いだった。
小学校のときは、放課後、男の子とジャンプの回し読みをしたり、一緒に釣りに行ったりして、それだけで毎日楽しかったのに、中学にあがった瞬間、昨日までとおんなじように男の子に話しかけたら、放課後、別の小学校から来た女子たちに呼び出され、よくそんなことできるねと鼻で笑われた。
数日後には同じ小学校だった男の子も女の子も、別の学校から女子たちも、完全にチーム分けをつくり、わたしは頭に?マークを浮かべたまま、どこにも入れてもらえていなかった。
わたしは完全に、思春期から取り残されていた。
男の子も女の子も、制服というものをあてがわれた日を境に、男子と女子に分かれてしまった。 女子たちが読むティーンズ雑誌の話、香水の話、制服のスカートを短くすること。なんにも興味がなかった。
こんな年でそんなことしても、余計格好わるいだけじゃん。ばっかみたい。 けれどそれを追いかけるかのように、それまで友達だった男の子たちもいつのまにか、どのクラスの女子がかわいい、あの先輩はやばい、とか、そんなつまんない話しかしなくなってしまっていた。
わたしは休み時間のほとんどを図書室で本を読んで過ごすようになった。しかし待てども待てども、耳をすませばの聖司くんのような王子様は現れなかった。
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