INTERVIEW&COLUMN
2017.08.01
14歳〜初めて映画をつくりたいと思った日〜
やがてわたしは18歳になり、夢もないまま東京にひとりで出てきた。 いや、違う。わたしの夢は生まれた町を出ることだった。大人になり、東京に住み出して、夢が、叶ってしまった。
先を決めないまま、わたしはただただバイトをして過ごした。 知り合いもおらず、特に趣味もなく、牛丼屋に入ることすら楽しかったキラキラした時間もとっくに卒業したわたしは、これから続く自分の人生を持て余しまくっていた。
そんなとき、買い続けていた例の雑誌の最新号で、女性クリエイター特集、というものが組まれていた。 漫画家、イラストレーター、アニメーター、ミュージシャン、コラムニスト……。 そこには、さまざまなクリエイター形の職業の女性の仕事場の写真や、作品の紹介、インタビューが掲載されていた。
そんな中で、もっともわたしの興味を引いたのが、映画監督の記事だった。 他の職業に関しては、なんとなく就く為の方法が想像できる気がしたものの、映画監督はまったく想像できなかった。
それでも、なんだかそれにすごく惹かれてしまった。
ストーリーづくりに興味はあるものの小説を書ききる根性もなく、漫画家になれるほどの画力もなく、服やインテリアに興味はあるものの、デザインセンスもないし不器用。
でも、映画監督になれば、自分の興味があるものをいろんな人の力を借りて集結させられるという気が、その瞬間にした。
今思うと、なんの経験もない小娘が何を無謀なことを考えたんだ、というかんじだけれども。
ただただ、この雑誌に出会った瞬間の、初めましてなのに自分の好きなものが詰まったおもちゃ箱を見つけたような感覚を、映画に閉じ込めてみたい。そう思った。
翌日、わたしはその雑誌に載っていた監督の学校をインターネットで調べ、そして、その学校に入ることを決めた。
あれから10年。 どうにかわたしは、映画監督という肩書きを名乗れるようになり、こんなコラムを書かせていただけるまでになりました。 実際、その後はものすごく大変な道のりがあってここまできたわけですが、それはまたいつか書ければ、の話。
ただこんなふうなスタートで人生が決まった人間もいるので、たとえばどこかの誰かがここでの自分の連載を読んで、ちょっとだけ、何かが変わったりすることのきっかけになるのなら、今よりもずっと必死にひとりでなにかと戦っていた、14歳のころの自分に誇れるかなぁ、と、思ったりしています。
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